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2018年5月23日水曜日

畳み込み積分

今、時間 t と共に変化する信号 x(t) が下の図の太線のようになっていたとして、この信号を、先に示した単位インパルス関数を用いて表すことを考えよう。単位インパルス関数は、面積1の長方形 δε(t)(1<t<ε)ε0 の極限をとったものとして定義された。そこで、この δε(t) を少しずつずらして、 x(t) を構成する。x(t) を離散時間 ε で分割すると、下図の赤い矩形のようになる。

時間 t での高さは、 x(kε)δε(tkε)ε で近似できる。 k は、時間幅 ε が何個あるかを表し、x(kε)t=kε のときの x(t) の値を表す。δε(tkε)δε(t) が時間 kε だけずれたことを表し、δε(tkε)ε は1である。例えば、k=1 なら、x(ε)δε(tε)ε となるし(下図一つ目)、k=2 なら、x(2ε)δε(t+2ε)ε となる(下図二つ目)。

これらを足し合わせると、 x(t)k=x(kε)δε(tkε)ε となる。で、近似を等式にするには、ε0 の極限をとればよい。そうすると、δε(t) は単位インパルス関数 δ(t) となり、次式が得られる。 x(t)=x(τ)δ(tτ)dτ

2018年5月9日水曜日

重ね合わせの理

重ね合わせの理は、「電気回路で複数の電源があるとき、各電源(起電力)によって流れる電流を求め、それらの足し合わせが回路全体の電流に等しい」という定理です。例えば、以下のような電気回路を考えたとき、この回路に流れる電流はオームの法則から I=E1+E2R となります。

重ね合わせの理を使えば、一方の電源を取り除いて、片方ずつ電流を求め、後でそれらを足し合わることで、全体の電流を求めることができます。で、まず、一方の電源 E1 を残して、もう一方の電源 E2 を短絡しますと、この回路に流れる電流は、 I1=E1R となります。

次に、反対側の電源を戻して、先ほど残した電源を短絡します。そうしますと、この回路に流れる電流は、 I2=E2R となります。

で、求めた電流をそれぞれ足し合わせると、以下のように回路全体を流れる電流が求められるのです。 I=E1+E2R この回路は単純ですので、重ね合わせの理を用いなくても、冒頭のように起電力を足し合わせてオームの法則を適用するやり方で簡単に求めることができます。しかし、回路が複雑になると、重ね合わせの理は重宝することになります。

ここで、E1,E2 を入力、I1,I2 を出力と考えたとき、以下のことが成り立ちます。

  1. 入力 E1+E2 に対する出力は I1+I2
  2. 入力 αE1 に対する出力は αI1α は定数 )
このような関係は線形ですし、これを入出力システムとみれば、線形システムということになります(下図)。