2019年9月27日金曜日

特異値分解

特異値分解についてお話しします。固有値分解が対象としているのは正方行列でした。特異値分解では、これを一般の行列に拡張します。つまり、行列 A に対して、直交行列 U, V、対角行列 S を用いて A=USVt のように分解します。 このとき、 S=(s1s2),U=(u1u2)V=(v1v2) です。S は特異値と言います。分解するときに使う直交行列はU, Vの2個になりますが、「正方行列の」という制限が外れます。従って、どんな行列にも使えます。ここで注意すべき点は、対角行列 S の行と列の数が異なるということです。対角からはみ出る要素はゼロになります。また、直交行列 U, V の要素数は異なります。

行列 A は正方行列である必要はありませんが、AAt は常に正方行列(対称行列)になります。ということは、この正方行列 AAt に対して固有値分解できるということです。つまり、対角行列 D として AAt=UDUt と変形できます。一方で、 AAt=USVt(USVt)t=USVtVStUt=USStUt ですから、D=SStです。同様に、 AtA=VStSVt です。

StS=(s12s22) ですから、AtA を求めて、その固有値を計算し、その正の平方根をとれば、特異値が求まるということです。

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