特異値分解についてお話しします。固有値分解が対象としているのは正方行列でした。特異値分解では、これを一般の行列に拡張します。つまり、行列 A に対して、直交行列 U, V、対角行列 S を用いて
A=USVt
のように分解します。
このとき、
S=⎛⎜
⎜⎝s1s2⋱⎞⎟
⎟⎠,U=(→u1→u2⋯)V=(→v1→v2⋯)
です。
S は特異値と言います。分解するときに使う直交行列はU, Vの2個になりますが、「正方行列の」という制限が外れます。従って、どんな行列にも使えます。ここで注意すべき点は、対角行列 S の行と列の数が異なるということです。対角からはみ出る要素はゼロになります。また、直交行列 U, V の要素数は異なります。
行列 A は正方行列である必要はありませんが、AAt は常に正方行列(対称行列)になります。ということは、この正方行列 AAt に対して固有値分解できるということです。つまり、対角行列 D として
AAt=UDUt
と変形できます。一方で、
AAt=USVt(USVt)t=USVtVStUt=USStUt
ですから、D=SStです。同様に、
AtA=VStSVt
です。
StS=⎛⎜
⎜
⎜⎝s21s22⋱⎞⎟
⎟
⎟⎠
ですから、AtA を求めて、その固有値を計算し、その正の平方根をとれば、特異値が求まるということです。
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